のカンヌ映画祭過去受賞映画…『エレファント』


ほのぼのとした恋愛映画かと匂わせるジャケットとは大違いの内容の本作は、'99年にアメリカで発生した「コロンバイン高校銃乱射事件」を題材にした映画。同事件といえば、マイケル・ムーア監督が手がけたドキュメンタリー「ボウリング・フォー・コロンバイン」も一時話題になったわね。これと本作を観比べても面白いと思うわよ。ガス・ヴァン・サント監督作の本作は、ごく普通の日常に突然訪れた異常が淡々と映し出されていくんだけど、加害者も被害者も背景がわかるようにスポットを当てているから、リアルで本当に怖かったわ。ガス・ヴァン・サント監督の最新作「ラストデイズ」もそうだけど、延々と長回しのカメラで登場人物の後を追っていったり、役者の名前をそのまま役柄の名前として使う手法で、すっかりストーリーにのめり込んでしまったアップリケ。観終わった後は、劇中に流れていた「エリーゼのために」のピアノ音と青い空の映像が妙に心に残ったわ。