の家族映画…『萌の朱雀』


コレ、河瀬直美監督の長編デビュー作にして、カンヌ映画祭ではカメラ・ドール(新人監督賞)を獲った1本。奈良の山間で暮らす一家を、ただひたすら淡々と描いている。って言うと、ハート・ウォーミングなドラマなのかしらと思う人もいると思うけど、さにあらず。全編に漂うのは、ちょっと怖いほどの静謐感。途中でお父さんが謎の死を遂げちゃうし。で、皆、各々にその理由を考えるんだけど、分かったような分からないような…。そして音もなく、家族はバラバラになってゆく。「え〜、今回のお題は“家族愛ってすばらしい!”じゃなかったの〜」っちゅう声も聞こえてきそうだけど、こんな不穏さの中に、確かに“ソレ”はあるんだよ。いいことばっかじゃない、反面教師的なリアル家族愛としてご覧アレ。