の「ヒヤっとする映画」…『ホームドラマ』


本当にゾッとする瞬間は“日常”に潜んでいる気が。身近なあの人のシャレにならない本性を見ちゃった、見られたくない自分の心の恥部を見られちゃった…そんな時ほどゾッとするものはないと思うんだけど。派手さはないけど、静かに深くヒンヤリくる。これからも日常は続いていくことを考えると、ホント寒いし。で、今回紹介するコレは、その辺をすごいうまくすくいとってんの。描かれるのは、とあるプチブルジョア一家。一見、穏やかで幸せにみえるけれど、家族各々が性にまつわるすんごい秘密をもってて。例えば近親相姦、同性愛etc.。それがある1匹のネズミが家に来たのをきっかけに、どんどんバレていく。そしてミンナおかしくなって、一家は崩壊…。ま、設定だけでもエグイけど、一番エグイのは、この様をコメディとして描いているところ。しかも、「こんな状況、笑い飛ばしちゃえ!」ってな前向きな笑いじゃなくて、「ね、こいつらアレでしょ?クスッ」ってな嘲笑まじりな笑いなの。あ、でもね。不思議と観た後の気分は悪くない。だけどやっぱりゾッと感は続く。その相反したものを両立させているところが、本作監督、フランソワ・オゾンのセンスと才能なんだと思うなー。