のザ・青春映画…『キッズ・リターン』


現実や人生を、容赦なく見せられてしまう青春映画と言ったらこの作品。主人公のオチこぼれ2人は、ともにボクシングを始めるが、素質があったのは片方だけ。もう1人は別のなにかを求めてヤクザの道へ。2人とも大成しようとする直前で、出る杭のごとく打たれる。この2人が馬鹿にしていたマジメな同級生は、憧れの女性と結婚して仕事も決まるが、働きすぎて事故を起こす。ある程度まともな結果になったのは、漫才の練習ばっかりやってた同級生と、主人公につられてジムに入会した半端な不良だけだった。結局、世の中どこにいっても大変なことや、辛いことや、しんどいことばっかりだ。でも、生きていかなきゃならないし、生きていればそれなりに楽しいことだってある。主人公たちが乗っている自転車は、彼らの行く末を描くようだ。ゆるゆる、ふらふらしているけど、とりあえずは前に進む。きっと壊れるまで進むんだろう。ラストの有名なセリフ「まだ始まっちゃいねえよ」を聞くとそんな感じがして胸がジンっとする。今でも、朝、自転車に乗りながらメインテーマ「KIDS RETURN」を聞く。いろんなことがあるけど、とりあえず進もうぜ! って気になるから…。