のこんな嘘をつかれたい! 映画…『T.R.Y.』


「嘘も方便」って言うけど、やっぱり嘘つかれたり、騙されたりすると良い気がしないよね。それでも良いって思えるとしたら、やっぱり優しさや華麗さ、それに嘘をつく意義が無いとダメだと思うんだよ。そんなわけで選んだのが今回の作品。舞台は戦争の雰囲気漂う20世紀初頭の上海。織田裕二演じる伊沢修は、金持ちや悪党を騙して金を奪い取り、貧しい人に富を分ける詐欺師。当然、敵も多いワケで、とうとう殺し屋に命を狙われるハメに。そこに革命家の男が現れ、清朝打倒のための武器を日本軍から騙し取れば、命を守ってくれると言う。しかし、相手は渡辺謙演じる切れ者の陸軍中将。かくして一筋縄ではいかないゲームが始まった…。表面上は華麗に騙しているようでも、その裏はかなりのドタバタでギリギリ。白鳥が水面下では、必死に水を掻いているようなもんで、観ているこっちもドキドキする。表面と裏が違うのは、伊沢本人にも通じるものがあって、「ヤバくなったらすぐ逃げる」とかいいつつ、本心は信念を持った革命家たちを助けてやりたいと思ってるし、誰にも死んで欲しくないと思ってる。ただ、革命家嫌いなのは彼の過去にも関係してるんだけど…。嘘が“真”になる瞬間を味わえる映画だと思うよ。