の家族映画…『のど自慢』


現在『パッチギ!』が大ヒット中の井筒監督。『パッチギ!』でも“家族”というキーワードは映画を語る上でとても大きなウェイトを占めていますが、今回紹介する『のど自慢』もそう。40歳を過ぎても転職を繰り返す男、姉の結婚問題で悩む女子高生、自閉症気味の孫を預かった老人。彼らが其々の家族への思いを胸に抱き、地元で行われる「のど自慢大会」に挑む。特にトラガリが「家族ってやっぱり素晴らしいなぁ」としみじみ思ったのが、40歳を過ぎても転職を繰り返す男とその家族。金銭的に辛い状況にあろうとも、夫を見守り応援する妻と子供たち。どこまでもポジティブな生き方は、資本主義社会で生きながらも「お金よりも大事なモノ」を見せられた気がしました。特に妻を演じる松田美由紀の演技が本当に素晴らしい!!夫役の大友康平との息の合った夫婦っぷりは、観ている側の心をホンワカと温めてくれます。

の家族映画…『サウンド・オブ・ミュージック』


家族愛・・・といえばもう、コレしか思いつかない!家族だって最初は他人同士。そんな他人同士が家族に「なる」過程をじっくりと見せてくれる1本。
7人のチビッコ達を抱えるトラップ大佐の家に住み込みで働くマリア。タチが悪いガキどものイタズラを笑顔でかわし、ついには子供たちのみならず、大佐まで手なずけてしまった彼女。まさに「マリア様」!そして、これぞ「母性」のなせるワザ!
初めて観たのは、たしか思春期だったけど、家族って、こうやって出来上がっていくんだなぁ・・・としみじみした記憶が。後半、ナチスに追われて国外逃亡しようとするシーンは、トラップ大佐、マリア、そして子供たち全員がお互いを思いやっている姿を見てもう涙、そして涙・・・。ホント心温まるいい映画です。

の家族映画…『萌の朱雀』


コレ、河瀬直美監督の長編デビュー作にして、カンヌ映画祭ではカメラ・ドール(新人監督賞)を獲った1本。奈良の山間で暮らす一家を、ただひたすら淡々と描いている。って言うと、ハート・ウォーミングなドラマなのかしらと思う人もいると思うけど、さにあらず。全編に漂うのは、ちょっと怖いほどの静謐感。途中でお父さんが謎の死を遂げちゃうし。で、皆、各々にその理由を考えるんだけど、分かったような分からないような…。そして音もなく、家族はバラバラになってゆく。「え〜、今回のお題は“家族愛ってすばらしい!”じゃなかったの〜」っちゅう声も聞こえてきそうだけど、こんな不穏さの中に、確かに“ソレ”はあるんだよ。いいことばっかじゃない、反面教師的なリアル家族愛としてご覧アレ。

の家族映画…『ジョンQ -最後の決断-』


家族のためなら、たとえ命をかけても惜しくはない。書くのは簡単だけど、実際なかなかできることじゃないよね。でも、この作品の主人公・ジョンQは、犯罪を犯し、警察を敵にして、さらに命もかけた。子煩悩だった彼が、ここまでするにはそれなりの理由がある。ある日、息子が心臓疾患で倒れる。難病で心臓移植をしないと助からないが、費用はなんと25万ドル。でも、彼は安心してた。保険があると思ってたからね。ところが、長年勤めてた工場をリストラされて半日勤務のパートになった。そのとき、知らないうちに保険のランクが引き下げられてて、上限2万ドルまでしか保険が支払われなくってたんだ。何年も支払ってきたのに、こんなことになるなんてホント腹立つよね。彼は思い出の詰まった家財道具を売り払ってまで、お金を作ろうと奮闘する。地域の人たちも寄付をしてくれたし、足りないけれど何とかなるだろう、そう考えてた。でも、現実は違ったんだ。病院は費用が払えないなら出ていってくれって言ってきた。遂に彼は、人質をとって病院に立てこもることを決意する。彼の行為はもちろん犯罪だし、許されることじゃない。けど、心情的には誰もが共感すると思うんだよね。